ちょっといい話
- 公開日
- 2023/01/13
- 更新日
- 2023/01/13
お知らせ
パパになったたけしへ
俺の母親は俺が12歳の時に死んだ。ただの風邪で入院してから、1週間後に死んだ。
親父は俺の20歳の誕生日の1ヶ月後に死んだ。俺の20歳の誕生日に入院中の親父から手紙を渡された。黄ばんだ封筒を開けるとセロハンテープの後がくっきり写る。中を読むとお袋からの手紙だった。
『パパになったたけしへ』
内容は、俺が生まれた時のことから中学の入学した頃までのことが書いてあった。生まれた子が俺でよかったって。短い間だったけど楽しかったって。感謝してるって。でも、ゴメンって。だから、あなたの子どもには、あなたと同じ思いはさせないで頂戴って。
泣きながら読んでる俺に親父が謝った。「すまんな」って。でも何を謝ることがあるのか。お袋が死んでから親父は忙しい中、俺のために働いてくれた。遊びにも連れてってくれた。反抗期の息子に何を言われても黙ってた。俺は知ってた。お袋が死んだ直後、親父の手に出来た沢山の包丁傷の跡。あれほど好きだったゴルフをやめたこと。いつの間にかタバコもやめてたな。
こっちこそゴメン。ダメな息子でゴメン。俺は普通の人より早く両親を亡くしてるだろうけど、他の誰にも負けないくらい幸せだ。家族3人で過ごした思い出は何よりの宝物。
父さん、母さん、ありがと、ほんとにありがと。