ちょっといい話
- 公開日
- 2022/06/13
- 更新日
- 2022/06/13
お知らせ
貴方だけ特別に可愛がったのにはワケがあるの
すっげーかわいがってくれた「じぃちゃん」。戦争から帰り、必死に働いて小さいながらも会社作った。孫の中でも特に俺をかわいがってくれた。そのせいか、ワガママなガキだった俺。
5年前「じぃちゃん」が逝った。で、そのときにお袋から聞かされた。
母:「じぃちゃんね、貴方だけ特別に可愛がったのにはワケがあるの」
俺:「えっ?俺が馬鹿なクソガキだったからか?」
母:「あのね、孫の中でも貴方だけ血が繋がってなかったの」
俺:「はっ、どういう意味?」
母:「奥さんを亡くし、貴方のお婆ちゃんが私を連れて嫁にきたの」
戦争で妻を亡くし国の復旧のために懸命に働く中、「じぃちゃん」は、ばあちゃんと結婚。自分の子ども、連れ子も平等にかわいがったらしい。俺が身近に居たこともあったが、血の繋がらない孫だと分かったら、俺の気持ちが離れるだろうと思いこみ、理解してない子どものうちに一杯愛情をかけてやろうと思ったらしく、自分の娘たちから批難を浴びようが愛を注いだ「じぃちゃん」。でも俺は、何にも恩返しもせず、墓参りしかできてない。「じぃちゃん」、血の繋がりの意味が分かってからも貴方の孫ですから……。ばぁちゃんとお袋を愛してくれ、最後まで一緒にいてくれてありがとう。
「尊敬する人は誰ですか?」と聞かれても、貴方の名前しか出ません。最後に、今度もまた「じぃちゃん」の孫に生まれさせてください。