学校日記

ちょっといい話

公開日
2023/03/08
更新日
2023/03/08

お知らせ

   優しい手

 おばあちゃんが、認知症になってしまった。いつも何でもかんでもこなしてたおばあちゃんは、認知症になってから「ぼーっと」するようになっていてた。急に怒り出したり、怒り出したと思ったら、急に優しくなったり……。私はついていけなかった。
 ある冬の日、その日は久しぶりにに雪が降った。おばあちゃんのことはみんなあまり気にせず、いつもほったらかしだった。その日私は、いつの間にか寝てしまっていて、おばあちゃんのことを見ていなかった。次、目を覚ました時おばあちゃんはいなかった。家中どこを探してもおばあちゃんがいないのだ。すぐ家族に電話して、町中探し回った。警察にも探してもらい、やっとおばあちゃんがみつかったのだ。家から遠く離れた公園のベンチにおばあちゃんは座っていた。おばあちゃんのまわりには雪が積もっていて、とても寒そうだった。どうしてあんな場所にいたのか聞かれた。おばあちゃんは、「○○(私)ちゃんを探しにきたんだよ」ってしわがれた声で言った。私は小さい時、迷子になりこの公園で見つかったのだ。あの時、私を見つけてくれたのはおばあちゃんだった。さみしくって怖かった。そして、家族が迎えに来るまで、ベンチで一緒に手を繋いで待っていた。あの時助けてくれたおばあちゃんの優しい手は、もうシワだらけで小さくなってしまったけど、今もあの時と同じ優しい手だった。