ちょっといい話
- 公開日
- 2023/01/11
- 更新日
- 2023/01/11
お知らせ
16年前の手紙
私の父は13年前に亡くなりました。その頃私は10代で後先考えずバカな事ばかりして、家出をし、母も父と仲が悪く別居……。亡くなる前の1年間は、お父さんは独り。
成人式に出ようと久しぶりに帰り、お父さんに 会った。お父さんは凄く痩せていた。病院に行くようにお母さんとすすめた。数日後電話で話した。 お父さんは「病院行った」って嘘ついた。この時自分でも分かっていたのかもしれない。それから2ヶ月後、その日はやたらと非通知で電話がきていた。その後、お母さんからの電話。「すぐに家に帰りなさい」と言われ、帰るとお父さんが救急車で運ばれた……。慌てて病院へ行くと、全く動けなくなってしまったお父さんが居た。余命半年。全身に癌が転移し、腰の骨にも転移して骨が砕けてしまっていた。あの非通知の電話はお父さんだった。 私やお母さんに助けを求める電話だった。昔から機械音痴なお父さん。肝心な時に非通知設定。
次の日の診察余命1ヶ月になった。今までの事すごく後悔した、ひたすら後悔した。それから、お父さんは亡くなるま2二週間、痛みに耐え頑張った。家族3人で毎日一緒に過ごした。今までの分を取り戻すかのように、3人で笑顔で……。父の会社の上司に引継ぎする時、病室で必死に起き上がろうとしたお父さん。入院する前日まで、朝から夜遅くまで仕事していたお父さん。みんな、私のため。私が好き勝手できたのもお父さんのお陰。バカで無知な私。
葬儀の日、お父さんの財布からボロボロの紙が出 てきた。私が小学校で父の日に書いた作文だった。16年ずっと持っていてくれた。涙が止まらなかった。本当にバカな娘でごめん。ありがとう、お父さん。