学校日記

ちょっといい話

公開日
2022/11/14
更新日
2022/11/14

お知らせ

   あの子はたった7つの春しか迎えられなかった…

 娘千春が逝ってから、もうすぐ1年。「千の春を迎えられるくらい長生きして欲しい」という願いを込めて名をつけたのに、あの子はたった7つの春しか迎えられなかった。先天性の免疫不全症候群で、生まれてから1度も病室の外に出ることはなかった。「いつになったらお外へ出れるの」と、悲しそうに呟くあの子の姿が今も目に焼き付いている。結局、生あるうちにその願いは叶えられないまま終わった。小さな身体で懸命に、最後まで、生きることを諦めなかった千春。闘って、闘って、闘い抜いた千春。とうとう力を使い果たして、眠るように逝った千春。「よく頑張ったね、えらいぞ、1等賞だ。だからね、もういいからね、おやすみ」と主治医の先生が看取った時に、優しく千春の頭を撫でながらそう言って泣いていた。私は主人と一緒に泣きながら、そんな先生に何度も何度も頭を下げた。小さかった千春をもっと小さな一握りの灰と骨にして、海と山に撒きました。外の世界に焦がれ続けていた千春を、また狭くて暗い墓の下に閉じ込めたくなかったので……。
 千春、千春、今あなたはどこにいるの?、空?、海?、山?、幸せでいる?今はまだ、あなたのことを思い出すと涙があふれて止まらないよ。
 おかあさんの娘に生まれてくれてありがとうね。またいつか会おうね。