ちょっといい話
- 公開日
- 2022/11/10
- 更新日
- 2022/11/10
お知らせ
お母さんに会いたいです
私の父は、私が5歳のときに白血病で亡くなりました。それからは母が働き、祖母が私と弟の面倒をみるようになりました。母が、乳癌だとわかったのは私が小学校6年生の時でした。そのときは本当に驚いたのですが、「手術をすれば大丈夫」と思っていたので、「お母さんはすぐに元気になるんだ」と思っていました。その通り、摘出手術をしてからは、仕事にも無事復帰。私が中学1年生の夏ごろ、癌細胞が肝臓に転移しているのがわかりました。私は「また手術すればすぐに治る」と思っていました。しかし、母は見る見るうちに衰えていきました。仕事も辞め、抗がん剤の作用で髪が抜け落ちたり、吐き気がひどかったりすることもありました。そして、私が中学2年生夏から、入院生活になりました。それでも心のどこかで「私のお母さんが死ぬわけない」と思っていました。冬のある日、母から電話がきました。「ちゃんとおばあちゃんの言うこときいてね。お手伝いもちゃんとしなきゃだめだよ」と、すごく疲れた声でした。それから1週間後の早朝に、母は亡くなりました。祖母から「弟と一緒にタクシーで来て」と言われ、弟とタクシーで病院へ向かいました。母の病室のある階につき、祖母の震えた声で私たちを呼ぶ声が聞こえた瞬間、涙が出てきました。「あぁ、本当にお母さんは死んでしまったんだ」と……。祖母から聞いた話ですが、母は亡くなる前、「○○(弟の名前)が高校卒業するぐらいまでは生きたいな」と言っていたそうです。その話を聞いて、また涙がでました。
今でもお母さんに会いたいです。会ってたくさん話したいです。学校のこと、部活のこと、音楽のこと、たくさんたくさん聞いて欲しいです。以前より成長した今の私なら、お母さんとたくさん語れる気がするよ。たまにお母さんの夢をみて泣いてしまうことはあるけど、私は大丈夫です。次に会うときは、たくさんわたしの話聞いてね。おもしろい話たくさん用意しておくね。