ちょっといい話
- 公開日
- 2022/11/04
- 更新日
- 2022/11/04
お知らせ
ごめんな、俺、助けてやれなかった 674 済
友達が自殺した。理由は「いじめ」。俺は気付いてた。友達がいじめられてたことには気づいてた。でも、自殺なんてするとは思っていなかった。ショックだった。俺だって、アイツをいじめたようなもんだから、何も言えなかった。ただ、ずっと後悔するしかなかった。そしたら、ある日友達の母親に呼ばれた。「貴方は息子がいじめられたの知ってたの」と聞かれて、「はい」と答えた。「怒られるかな」と思った。でもなぜか、友達の母親は何も言わずに手紙を差し出してきた。
○○へ。こんな形で別れてしまってごめん。いじめられていた間のことについては、かなり怒ってる。でも、誰だってああしたくなるよな。だから、後悔するなよ。俺のこと、お前がかばったらお前までいじめられるだろ。だからこれでよかったんだ。お前は、俺みたいにはなるなよ。俺はもう死ぬけど、お前には生きていてほしい。男同士で気持ち悪いかもしれねえけど、何だかんだで俺はお前のこと好きだったからさ。まあ、とにかく、俺はお前のコトは恨んでねえから。じゃあな。
死ぬ前に書かれたであろう手紙は、所々濡れていて文字がぼやけていた。アイツが、どんな気持ちでこれを書いたのかは分からない。でも、「もう2度と会えないんだな」、「笑ってくれないんだ」って思いがこみ上げてきて、思い切り泣いた。
そしたら、アイツの母親が「私ね、あの子がいじめられてること知らなかったのよ。だって、あの子ったら、家でもあなたの話ばかりしてるのよ。でも、それも嘘だったのね。
気付いてあげられなかった私も悪いから、私に貴方をしかる権利はない。でも、息子の友達になってくれてありがとう」と言って泣き出すんだよ。あの時の気持ちは、今でも忘れない。
「ごめんな、俺、助けてやれなかった。これからは、お前の分もしっかり生きるよ」。今俺は、スクールカウンセラーとして働いています。