ちょっといい話
- 公開日
- 2022/11/01
- 更新日
- 2022/11/01
お知らせ
ICUで僕を支えてくれたもの
高校3年生の時、バイクで学校に向かっていて、いつもの交差点に来たときのこと。突然クラクションが鳴り響き、驚いて横を見ると、すぐ近くに大型のワゴン車が迫っていたのです。その瞬間、スローモーションになったのを今でも覚えています。「どうすればぶつからないだろうか」と考える時間はたくさんありましたが、時間としては一瞬の出来事だったようで、気づいたら体がフェンスに激突していました。すると、周りの人たちが「動かないで!」と騒ぎ始め、すぐ近くの病院に運ばれました。検査したところ、足と肩甲骨、肋骨の骨折の他に、肺が潰れていることがわかりました。緊急手術をすることになり、手術後にICUに運ばれました。両親は「助かるどうかはわかりません。命は取り留めたとしても、植物人間になる可能性もあります」と説明を受けたようです。
ICUは無菌状態になっているため、基本的には面会はできません。そんな中で僕は過酷な治療に耐えなければいけなくなりました。24時間続く地獄のような治療に僕は心が折れかけていました。そんな孤独なICUで僕を支えてくれたのは、友達の存在でした。ICUの病室の扉には、小さな窓がついていて、その窓からたくさんの友達が僕を励ましに来てくれたのです。もちろん会話をすることはできませんでしたが、友達は筆談や、変顔で僕をたくさん笑わせてくれました。友達が来てくれている間だけは不思議と、痛みと苦しさを忘れることができました。
後から聞いたのですが、実は僕の両親が僕が死の危険があることを告げられてから、たくさんの僕の友達に「もしかしたら最期かもしれないから、会いに来てあげてほしい」と言ってくれて、それで本当に毎日多くの友達がきてくれたそうです。
「まず助からない」とまで言われた大怪我でしたが、気持ちが負けなかったおかげで、僕は今も生きています。高3の受験を控えた時期だったのにも関わらず、僕をはげましてくれた友達と、呼びかけてくれた両親には感謝してもしきれません。周りの人の温かさのおかげで起きた奇跡を、今後もずっと忘れずに生きていきたいです。