ちょっといい話
- 公開日
- 2022/10/27
- 更新日
- 2022/10/27
お知らせ
誓った双子
私には双子の妹がいます。名前はあやか。両親もたまに間違えるほどそっくりでした。でも性格は全く違って、あやかはとても活発で明るい性格でした。一方私は、ネガティブで、体を動かすことがあまり好きなほうではありませんでした。でもあやかと一緒ならどこへ行くのも、何をするのもとても楽しかった。私はそんなあやかに憧れていました。
そんな彼女を病魔が襲いました。乳がんでした。発見されたときには、既に末期状態で、余命1ヶ月と宣告されました。あやかは、「まだ1ヶ月あるやん。あと1ヶ月、何しようかな。どっか旅行いかへん?くよくよしてる時間がもったいないわ」と言って旅行の計画を立て始めました。「あやかがこんなに前向きに頑張っているんだから、最期まで楽しい思い出いっぱい作ってあげよう」と私は心に決めました。北は北海道、南は沖縄まで、あやかの行きたい所にたくさん行きました。毎日あやかの笑顔を見ていると、本当にガンは消えてなくなるんじゃないかと思えてきました。
でも現実はそう甘くはありませんでした。急に状態が悪化し、そのまま入院。私は「このままあやかがいなくなったらどうしよう」と、そんなことばっかり考えて泣いていました。するとあやかが「なあ、私ら双子やからわかんねん。お姉ちゃんが笑えば、私が笑っているのと一緒やで。だからな、約束してや。最期までずっと笑顔でおろ。みんなにあやかとお姉ちゃんの笑顔見せたろ」。
その日から、私は涙を封印しました。あやかのために、あやかを支えてくれている人のために常に笑顔でいると2人で約束しました。あやかは29歳という若さでこの世を去りました。常に笑顔でいると約束したはずなのに、あやかを想うと涙が止まりません。ふと空を見上げると、「お姉ちゃん、笑顔やで」と、怒ってくるあやかの声が今でも聞こえてきそうです。2人で行ったたくさんの旅行の写真を見ながら、あやかの笑顔を常に思い出します。最期まで、そして、これからも笑顔で……。