学校日記

ちょっといい話

公開日
2022/10/04
更新日
2022/10/04

お知らせ

   おふくろからの1本の電話 

 おふくろからの1本の電話。「お父さんが……、死んでたって」。「死んだ」じゃなくて、「死んでた?」。
 親父とおふくろは離婚してて、まともに会話すらした事がなく、思い出もない。借金を背負って、自分の事しか考えず、家族はそっちのけ。とにかく自分本位でおふくろは、いつも愚痴ばかりもらしていた。ただ、そんな親父は、小さい頃に母親に捨てられ、施設で育ったらしい。愛情に欠けて生きてきたから、仕方ないのかと思った時もあった。お祖父さんは帰化申請をした外国人。小さい頃から「外国人はあっちいけ」とバカにされてたらしい。自分も親になって、少しは親父の気持ちも分かり始めた時であった。
 最後に会ったのは3年前、子どもと一緒に飯を食いに……。相変わらず何一つ喋らず、 黙々と食べ終わって帰ったっけな。糖尿病で病院に行く金もなく、インスリンを半年も打たず部屋にはチョコとかコーラが大量だった。 座椅子に座ったまま苦しんだ形跡もなく、10日後に発見。新年迎える前日だったらしい。台所には甘口のカレーの作りかけの後があった。ちゃんと作っておいてやったよ……、ちゃんと食ってやったよ……。涙が止まらなかった。何で言ってくれなかった、最後の最後まで迷惑かけやがって、一緒に酒飲みたかったな、 温泉行きたかったなー。親父らしい最後だったのかもしれないな……。