学校日記

ちょっといい話

公開日
2022/09/27
更新日
2022/09/27

お知らせ

   クソガキ 

 訳あって引き取り、育ててたかわいげ皆無なクソガキが、結構いい大学に受かった。正月に親戚が集まったとき、俺の嫌いなおばちゃんに「私たちのところで引き取ってたら、もっといいところに行けたかもね」って、そいつが言われてた。そもそも、そのおばちゃんは、「こいつを誰が引き取るか」っていう親族会議になったとき、「私は絶対イヤ」って本人の前で言いやがった。一番経済的な余裕があるのに……。それで俺が勢いで「じゃー俺、育てます」って言っちゃったんだけど……。
 俺はイライラしつつも、「ああそうなのかもな、俺がもっといい会社に就職したり、早く出世したりしてれば、こいつにもっといい環境を与えてやれただろうし、塾だって通わせてあげれたのにな」、「あぁ、俺、もしかして悪いことしちゃったのかな」って思ってた。そしたら、そのクソガキ、「今の自分があるのは○○(俺の名前)さんのおかげだし、俺がこんなとこに受かれたのも○○さんのおかげです」って、言ったんだよ。おばちゃん沈黙。そいつ、普段俺の名前に「さん」なんかつけないんだ。常に、えっらそーに俺を呼び捨てなんだ。なのに……。本当に死ぬほど嬉しかった。今まで生きてきた中で、一番嬉しかった。
 帰りの車で、俺すっごい浮かれてて、そのガキに「ありがと」って言ってやった。そしたら、クソガキが怪訝な表示した後、しばらくしてからマフラーに顔埋めて、そっぽを向いた。どうやらクソガキは、その自分がその言葉を言った時、俺が襖一枚向こうにいたのを知らなかったらしく、「ありがと」と言われたことに照れてるらしかった。すっげえかわいかった。
 実際に子どもいたら、こんな感じなのかなって思った。