ちょっといい話
- 公開日
- 2022/09/14
- 更新日
- 2022/09/14
お知らせ
俺の骨
姉:コレで一生アンタに借りができちゃった
弟:こんなんで借りとかいうなや
姉:コレで私とアンタは運命共同体ね
弟:ハハッ ちゃんとリハビリしろよ!
姉:リハビリしたら歩けるようになるかな……
弟:大丈夫だって!俺の骨は若くて丈夫だもん!
姉:傷痛くない?ごめんね。退院したら何か、プレゼントするね
弟:おぅ、早くよくなってくれよな
姉:ありがとね
交通事故で足首の骨が粉砕してしまった姉に俺の尾てい骨から骨を移植手術した時、病室に2人のベットを並べて入院してた時の会話。移植手術が終わって2ヶ月程経った頃、俺と姉は再手術をする事になった。1度目は骨盤の前の方から骨を取ったんだけど、今度は右の方から骨を取ることになった。
姉:何度もごめんね……
弟:いや、俺の方は有り余ってるから、いいけどさ。それより、せっか
く俺の骨をやって るんだから早くよくなってくれよ!
姉:そう言ってくれるのは嬉しいけど、またダメかも……。骨の取られ
損になっちゃうかも……
弟:何言ってんだよ、今度こそ大丈夫だってば!
姉:昨日、ギプスを外した時、お婆さんの足みたいだった
そこまで言って姉は泣き出した。2度の手術で俺の骨盤の前の出っ張りは両方とも無くなりました。2度目の手術が終わって1ヶ月程経った頃、見舞いに行くと姉が泣いていた。これ以上、移植を繰り返しても結果は同じだと……。結論からいうと、結局、姉の右足は膝から下を切断されてしまいました。今は義足の生活です。男前な姉なんで、足を切ることに人前で涙を見せることは無かったです。俺は泣いてしまったけど……。
姉:結局、無駄になっちゃった……、ごめんね
弟:いや、俺の骨が根性無しだったから……。他の人の骨だったら……
姉:も〜やだな!、何でアンタが泣くのよ!
で、その姉が、当時お世話になった義肢装具士の先生のとこで働いてた方と婚約しました。4月に式を挙げる予定です。俺の骨は役に立たず、姉の右足は彼に一生支えられていくのだと思うと正直少し悔しいですが、姉が幸せになれそうでよかったと思っています。
