ちょっといい話
- 公開日
- 2022/06/30
- 更新日
- 2022/06/30
お知らせ
勇敢な若者
全盲のうちのお袋が、公衆電話をかけようとしたら、白い杖を見てチャンスと思ったらしい奴が、お袋のバッグをひったくろうとした。お袋はすぐに気づいて抵抗したが、殴られて倒れた。次の瞬間、近くで怒号が聞こえて、乱闘が起きているのがわかったという。
訊くと3人のひったくりに、1人で飛び掛っていった人がいたらしい。幸か不幸か、そいつは大層強かったらしく、3人とも叩きのめした。しかし、3人の負傷が激しく、救急車が来て、その1人の人は警察に持ってかれた。
警察には、自称被害者のひったくり3人の親が来ていた。「私の子どもはふざけていただけ」と、噴飯ものの主張を大まじめにしていた親たちに警察が同調しかけたとき、お袋はキレた。「盲目の赤の他人のバッグをひったくる行為を、『ふざけてた』なんて親子揃って言い逃れする人間なんてどうでもいいです、お巡りさん、あの子を釈放して下さい。私は、あの子の知り合いでもなければ、あの子にお駄賃をあげる約束だってしていません。通りすがりの勇気ある少年です。青い正義感を裁かないで下さい。さもないとあの子はもう誰も救おうとはしません」。
お袋は泣いてた。