学校日記

ちょっといい話

公開日
2022/06/23
更新日
2022/06/23

お知らせ

   離れて分かった母の愛

 僕は、何かにつけて口うるさい母がイヤでしかたがありませんでした。それこそ1から10まで干渉されているようで、早く独立して家を出ることばかり考えていました。幸い近くにちょうどいい部屋が空いていたので、すぐに引っ越しました。やっとうるさい母から離れて暮らすことができ、解放された感じがしました。
 ところが、いざ自分で暮らすとなると食事・洗濯・掃除などの家事は、アルバイトで疲れた身体にはこたえました。食事もコンビニで買った弁当やカップ麺で済ますことが多くなり、おまけに洗濯物もたたまずに部屋の隅や衣装ケースに丸めてつっこんでおくようになってしまいました。
 そんなある時、自転車のカゴにおかずが置いてありました。母に違いありません。アルバイトで疲れた身体に、母の作った「肉ジャガ」の味がしみわたり、とても有り難い気持ちになりました。手紙やメモはありませんでしたが、嬉しくなりましたた。一緒にいる時は「口うるさいだけの母」と思っていましたが、そうではありませんでした。親としての優しい愛情だったのです。
 それでも、実家に帰ると母に面と向かって何も言えず、ただ、黙ってあいた容器を台所に置くだけでした。母も何も言いません。しかし、心の底ではとても感謝しています。