学校日記

ちょっといい話

公開日
2022/06/14
更新日
2022/06/14

お知らせ

   パパ、3年間も1人にしてごめんね

 父を肺がんで亡くしました。海外に単身赴任している3年間のうちに病魔に蝕まれたらしいです。帰国したときにはもう末期で、手の施しようがありませんでした。気丈で1度も「痛い」とも「辛い」とも言わず、たった2ヶ月の闘病生活で逝ってしまった父。
 1ヶ月後、元の職場から船便で父の私物が送られてきました。私には読めない外国語の書類、懐かしい父の匂いのする衣類などなど。母と思い出話をしながら、それでもまだ懐かしさの方が勝って、涙は出ませんでした。いろいろ開けているうちに1つの段ボールに目が留まり、中を開けてみました。出てきたのは箱いっぱいの漢方薬、ありとあらゆる種類の胃の薬、痛み止め、医学書。父は、胃がんではありませんでした。肺がんが、全身に転移していたのです。それなのに胃が悪いと思いこんで、こんなにたくさん薬を買って、「これも効かない、あれも効かない」と次々に試していたのかと思うと、急に涙があふれ、体が震え、絶叫してしまいました。「こんなに辛かったんなら、何で病院行かなかったの……」と。「パパ、3年間も1人にしてごめんね。許してね。パパの病気に気づいてあげられなくて、死なせてしまって、ごめんね」、遅く産まれた私をあんなに可愛がってくれたのにね。
 今度パパが生まれ変わった時もきっと私を娘に選んでね。本当に、本当にありがとう。パパの娘でよかったよ。