ちょっといい話
- 公開日
- 2022/05/14
- 更新日
- 2022/05/14
お知らせ
みんなと仲よくしたかったです
高校3年の時。ウチのクラスは本当に仲よくて、毎日毎日ワイワイやってた。ただ1人を除いて……。「ケババァ」ってあだ名の女子がいた。女子と言っても2年も留年してるからもう20歳で、超ギャルで、ケバくて、超美人だけどツンとしてて、ブランド物をジャラジャラつけて、香水プンプンで。彼女はクラスの輪に入ろうとはしなかったし、みんなも彼女を避けていた。
楽しかった1年があっという間に過ぎ、卒業式の日が来た。最後にクラスみんなで輪になって、1人一言ずつお別れの言葉を言うことになった。その時のケババァのお別れの言葉。
私は、白血病で入院していたため2年間も高校を休学していました。もう20歳なのにコスプレみたいと思われたかもしれないけれど、オシャレをすることはガリガリでハゲ頭だった入院中の私の夢でした。だけど、ホントはオシャレよりもしたかったことがあります。みんなと仲よくしたかったです。
そう言った彼女は、目に涙をいっぱい溜めて、とても綺麗で、ツンとなんてしていなかった。それまでヘラヘラしてた奴らも泣き出していた。彼女の言葉を1学期に聞いていたなら、きっと彼女にとって楽しかった1年になったに違いない。
何だかすごく悔しかった。