ちょっといい話
- 公開日
- 2022/05/02
- 更新日
- 2022/05/02
お知らせ
たくさんの味方がいるんやなぁ
うちの家は母子家庭で貧乏やったんや。ママは、昼はスーパーで、夜はスナックで働きながら育ててくれた。だから、ママとおれる時間は朝30分くらいと夕方3時間ぐらいやった。
そのころ、学校の女の子の間で、あるアイドルグループが流行っていて、CDを持ってきて休み時間に聞いとったんや。でも、うちはそんなん買える家じゃなくて、誕生日も三角のケーキをママと半分こ、プレゼントはそこら辺の雑貨屋さんで買った髪飾りとか、リサイクルショップで見つけたぬいぐるみとか、そういうもんばっかやった。これでも将来の夢くらいあって、収入が安定してる看護師さんになってママに楽させてあげるんやっていう夢があった。学校の作文で将来の夢について書いたんやけど、みんな原稿用紙1枚で収めとったけど、私は3枚も書いて、先生大号泣しとってなぁ。頭もそこそこよかった。1学年240人くらいおる学校でTOP10にははいりよった。CDとかはなくても友達はおった。「ひよちゃん」と「はーちゃん」って言うんやけど、すごい正義感が強い子達やった。私、一部の女子からいじめられよったんや。「いつも着てる服が同じ」ことと、「CDを持ってなかったこと」で……。私はそんなこと、全然苦じゃなかった。でもあるとき、お弁当の日があって、お弁当食べた後の休み時間に呼び出されたんや。「あんたは貧乏」、「いつも同じ服」やし、「今日のお弁当もダッサ」、「お母さんしかおらんもんなぁ」、そんな事をずっと言われて泣いてもたんや。そしたら「ひよちゃん」と「はーちゃん」が言い返してくれて、守ってくれたんや。ママにその話をしたら「ごめんなぁ、ごめんなぁ、許してなぁ」って言って頭撫でてくれたんや。そのときに、「たくさんの味方がいるんやなぁ」、と子どもながらに思ったわ。
今では、先生が勧めてくれた医学部に奨学金借りていってる。ママに恩返しできたらいいなぁ。