ちょっといい話
- 公開日
- 2022/04/27
- 更新日
- 2022/04/27
お知らせ
月へ帰っていったわが子の話
あと1週間で産声を聞けるはずでした。その日、家で1人、いつもと変わらず過ごしていた私でしたが、急な激痛に襲われたのです。意識が遠のく中、主人に連絡し、病院へと向かいましたが、ICUで目覚めた私に、わが子の泣き声も笑い声も聞こえませんでした。聞こえてくるのは、主人や家族の哀しみをおさえる音でした。その子の名前は、優月でした。両家にとっての初孫でした。私の腕の中にいたあの子の左瞼には、月にいるうさぎのようなアザがありました。優月は月からやって来て、月へと帰っていったのだと確信しました。
またわが家においでね。優しく照らす月明かりに、まだなお私たち家族の涙が光っています。