学校日記

ちょっといい話

公開日
2022/02/25
更新日
2022/02/25

お知らせ

   貴女のおかげです 

 今から2年前の3月、上司を事故で亡くした。親の病気で仕事を辞め、看病や家の中のことで疲れ切っていた俺に仕事を紹介してくれた友人がいた。その職場で知り合った人が彼女だった。当時20歳だった彼女を見ていて、自分が不甲斐なく思えた。腰掛け同然に仕事をしていた俺と、年1つしか違わない彼女を較べて……。
 そこそこに仕事をこなせるようになってから、本当にやりたい事の話もした。実際には医療関係の仕事に進むつもりだったし、学校に行くことも決めていた。その話の最中に彼女が「自分のやりたいことを優先して」と言ってくれたのを今でもよく覚えている。その1ヵ月後、彼女は他界した。自動車同士の衝突事故だった。後悔した。あの人のために働きたい、役に立ちたい、もっと話したい、そう思っていた矢先だった。
 1年前にその仕事は辞め、今は医療機関で研修中だが、後悔は一層強くなっている。あの時現場に居合わせていれば、彼女を助けられたかもしれないと……。彼女が戻ってくるわけではないけれど、少しでも多くの患者を救いたい。俺に道を示してくれた、彼女の言葉に報いる為に。俺が今ここにいられるのも、貴女のおかげです。ありがとう。ゆっくり休んでください。