学校日記

ちょっといい話

公開日
2021/12/20
更新日
2021/12/20

お知らせ

   娘が好きだったハム太郎の映画を観た 

 娘が6歳で死んだ。ある日突然、風呂に入れている最中意識を失った。直接の死因は心臓発作なのだが、持病のない子だったので病院も不審に思ったらしく、俺は警察の事情聴取まで受けた。葬式には別れた女房が「彼氏」同伴でやって来たが、もはや俺にはその無神経に腹を立てる気力もなく、機械的にすませた。
 初七日も済んで、俺は独りで娘が観たがっていた、「ゴジラ」と「とっとこハム太郎」の2本立ての映画を観ることにした。「とっとこぉ はしるよ ハム太郎」の歌を聴いた瞬間、やっぱり俺は泣いた。6歳にもなって活舌の悪い娘が、この歌を一生懸命覚えて、「とっとこぉ、はしゆよ、はむたよお」と歌っていたっけ。
 ハム太郎の紙コロジーだってクリスマスに買ってやるつもりだった。女親のいない家庭だったが、少しでも女の子らしくと、服を買うときだって、面倒がらずに吟味を重ねた。学校だって、行きたいところに行かせてやるつもりだったし、成人式には、ちゃんと着物を着せてやるつもりだった。女房と離婚してから俺は100%子どものために生きることにして、必死にやってきたのに、この世に神様なんて絶対いないんだと知った。