学校日記

ちょっといい話

公開日
2021/12/16
更新日
2021/12/16

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   母が描いた絵のアルバム 

 うちは貧乏な母子家庭で、俺が生まれた時はカメラなんて無かった。だから写真のかわりに母さんが色鉛筆で俺の絵を描いて、アルバムにしてた。絵は上手じゃない。ただ、どうにかして形にして残したかったらしい。ほぼ毎日、赤ん坊の俺を一生懸命描いてた。絵の隣に「キゲンが悪いのかな」とか「すやすや眠ってます」ってコメント付きで。小学4年生の時、家に遊びに来た友達数人に、そのアルバムを発見された。めちゃくちゃ笑われて、貧乏を馬鹿にされた。友達が帰って直ぐ、俺はアルバム3冊をバラバラに破いてゴミ箱に捨てた。パートから帰って来た母さんがそれを見つけて、泣きだした。破いた理由を言っても、変わらず泣き続けた。翌朝起きると、居間で母さんがゴミ箱から絵の破片を集めてセロハンテープでとめてた。「恥ずかしい思いさせてごめんね。でもね、これ、母さんの宝物なんよ」と申し訳なさそうに優しくそう言われると、涙が溢れ、俺は「ごめんなさい」と謝った。