ちょっといい話
- 公開日
- 2022/04/25
- 更新日
- 2022/04/25
お知らせ
母ちゃんどんな気持ち抱えてたんだ
母ちゃんは、俺が4つの時病気で死んだんだ。
ぼんやりと覚えてる事が1つ。公園でいつも遊んでた。夕方になると、みんなの母ちゃんが迎えにくるんだ。うちの母ちゃんは入院生活が長くて、どうせ帰っても親父は仕事だし、誰もいない。暗くなってもよく公園にいた。兄貴が部活終わって、公園の前通って一緒に帰るのが日課だった。その日も、暗くなっても砂場で遊んでた。そしたら、俺を呼ぶ声が聞こえたと思ったら、母ちゃんが息切れしながら歩いてきた。「ママー、ママー」って馬鹿みたいに叫んで走ったよ。暗い中、「ブランコに一緒に乗ろう」って母ちゃんが俺を膝に乗せてしばらくそうしてた。
その後、何日かして病院で死んじまった。後から親父に聞いたら、自分でも長くない事、わかってたらしい。あの時、母ちゃんどんな気持ち、抱えていたんだろう。「どうしていつも病院にいるの?」ってしつこく聞いてごめん。辛かっただろう。
来年、彼女と結婚するよ。母ちゃんの分も向こうのお袋さん大事にすっから。